第10回事業再構築補助金➁

今回は、「第10回の事業再構築補助金」についての➁です。
2023年3月30日から公募開始となった、第10回の事業再構築補助金。
新たな年度となり、今までと制度がだいぶ変わりました。
制度が変更となった個所を中心に、今回も詳細をご案内していきます。

【第10回事業再構築補助金】
事業再構築補助金のホームページにある資料の中で、わかりやすくまとまっている「事業再構築補助金の概要」と「第10回の公募要領」踏まえて解説をしていきます。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/download/summary010.pdf

まずは、第10回事業再構築補助金の説明➀の記事は下記です。
第10回事業再構築補助金➀

各申請枠

第10回公募の最大の変更点は、この申請枠の変更です。
第9回では、➀通常枠、➁大規模賃金引上枠、➂回復・再生応援枠、➃最低賃金枠、➄グリーン成長枠、➅緊急対策枠の6つの枠があり、
通常枠以外の申請枠の場合、申請枠と通常枠の2回の審査をしてもらえることになっていました。
しかし、第10回は、➀成長枠、➁グリーン枠成長枠(エントリー)、➂グリーン枠成長枠(スタンダード)、➃卒業促進枠、➄大規模賃金引上促進枠、➅産業構造転換枠、➆サプライチェーン強靭化枠、➇最低賃金枠、➈物価高騰対策・回復再生応援枠と全部で9つの申請枠になり、複雑になりました。第9回まであった、通常枠がなくなったことで、通常枠による2回目の審査はなくなりました。

今回は、第9回までの売上減少を要件を踏襲している➇最低賃金枠、➈物価高騰対策・回復再生応援枠といった申請枠についてみていきます。
この2つの申請枠は、業種や業界などの制限はなく、従前と同じように、事業再構築補助金申請できる申請枠です。

最低賃金枠

最低賃金枠は、第9回までもあり、制度の大きな変更はなく、引き続き業況の厳しい中小企業等を対象した申請枠です。
・最低賃金の引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等を対象とした「最低賃金枠」を設け、補助率を引き上げます。
→3/4と補助率が大きいです。
・「最低賃金枠」では、事業再構築指針の要件について、主要な設備の変更を求めません。
・「最低賃金枠」は、加点措置を行い、物価高騰対策・回復再生応援枠に比べて採択率において優遇されます。
→過去の採択率をみると「最低賃金枠」は、第6回86%、第7回81%、第8回71%と最も採択率が高い申請枠でした。第10回でも、この「最低賃金枠」が最も採択率の高い申請枠となると思います。

最低賃金枠枠の必須要件は以下の通りです。
・必須要件:年率平均3.0%以上の付加価値額の増加

2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
→第9回まであった、売上減少要件を踏襲したものです。コロナ前と後という考え方ではなく、2022年1月以降となりました。
直近で業況が厳しい事業者を対象にしていることと大きく理解すればよいです。

➁2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いること
→最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いるとなり、従業員数が10名以内では1人以上いればよいということです。
新規に従業員を雇用しても体調とはならず、2021年10月~2022年8月の間ですでに雇用していないと対象とはならないです。

補助率
補助率については、中小企業では、3/4と最大の補助率です。

最低賃金枠枠の補助金額、補助金額、補助率

後述の、物価高騰対策・回復再生応援枠と比較して、投資額、補助率を総合的に勘案して、どちらかで申請するのがよいです。

物価高騰対策・回復再生応援枠

第9回まであった、緊急対策枠と回復・再生応援枠と類似するのが、物価高騰対策・回復再生応援枠です。
この申請枠が第9回までの売上減少を前提とした、通常枠と特別枠の申請枠になります。
コロナや物価高等により依然として業況が厳しい事業者に対する支援を継続します。(第9回公募までの、回復・再生応援枠と緊急対策枠を統合)

物価高騰対策・回復再生応援枠の必須要件は以下の通りです。
・必須要件:年率平均3.0%以上の付加価値額の増加
加えて、➀と➁のどちらかを満たせばよいです。
2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
→最低賃金枠と同じで、2022年1月以降で比較することになりました。
※売上高減少要件については、付加価値額(売上高 × 1.5 )減少で代替可能となります。
直近で業況が厳しい事業者を対象にしていることと大きく理解すればよいです。
➁中小企業活性化協議会から支援を受け、再生計画等を策定していること
→金融機関に対して、一定の支援をうけるために、再生計画を作成している事業者という意味です。

物価高騰対策・回復再生応援枠の補助金額、補助率

第9回までの緊急対策枠と比較すると全体的に補助額と補助率が減少しました。
5人以下は、1,000万円までで変更なし
6~20人は、2,000万円→1,500万円と減少
21~50人は、3,000万円→2,000万円と減少
51人以上は、4,000万円→3,00万円と減少
補助率の計算は、複雑になっています。
【中小企業 】2/3
(従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合は800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4)
【中堅企業 】1/2
(従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合は800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3)

→必要な経費総額の計算
   中小企業5人以下、補助上限額1,000万円、補助率3/4、補助金額400万円、経費533万円と、補助率2/3、補助金額600万円、経費額900万円となり、経費額1,433万円以上が必要。
 中小企業6人~20人、補助上限額1,500万円、補助率3/4、補助金額600万円、経費800万円と、補助率2/3、補助金額900万円、経費額1,350万円となり、経費額2,150万円以上が必要。
 中小企業21人~50人、補助上限額2,000万円、補助率3/4、補助金額800万円、経費1,0670万円と、補助率2/3、補助金額1,200万円、経費額1,800万円となり、経費額2,867万円以上が必要。
   中小企業51人~、補助上限額3,000万円、補助率3/4、補助金額1,200万円、経費1,600万円と、補助率2/3、補助金額1,800万円、経費額2,700万円となり、経費額4,300万円以上が必要。

補助対象経費

補助対象経費については、第9回までと大きな変更点はないです。

●建物費(建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復、貸し工場・貸店舗等の一時移転)
●機械装置・システム構築費(設備、専用ソフトの購入やリース等)、クラウドサービス利用費、運搬費
●技術導入費(知的財産権導入に要する経費)、知的財産権等関連経費
●外注費(製品開発に要する加工、設計等)、専門家経費
応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外。
●広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
●研修費(教育訓練費、講座受講等)

補助対象経費外は、下記となり、汎用性の高いものは経費とはなりません。
●補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費
●不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費
●フランチャイズ加盟料、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

→補助金と活用する場合には、投資する経費がその対象か対象外かを見定めることが重要になります。

事前着手承認制度

・補助事業の実施・着手となり、購入契約や発注は、原則として交付決定後です。
・ただし、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠、サプライチェーン強靱化枠に限り、公募開始後、事前着手申請を提出し、承認された場合は、
2022年12月2日以降の設備の購入契約等が補助対象となり得ます。ただし、設備の購入等では入札・相見積が必要です。
・交付決定前に事前着手が承認された場合であっても、補助金の採択を約束するものではありません。また、採択された場合でも、補助対象経費については、交付申請時に認められたものに限りますので、公募要領をよくご確認ください 。


→第9回までは、2021年12月20日以降の設備の購入契約等が補助対象となっていましたが、第10回以降は年度がかわり、2022年12月2日以降がの設備の購入契約等が補助対象となりました。
また、申請類型が、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠、サプライチェーン強靱化枠に限られ、成長枠、グリーン成長枠では事前着手承認制度は使用できなくなりました。

以上が、第2回目となります。

第10回事業再構築補助金の申請サポート

壱市コンサルティングでは、中小企業診断士のチームで事業再構築補助金の申請サポートを実施しております。
専門分野をもった、中小企業診断士のメンバーが揃っており、各業界に適した人材が責任をもって担当します。
第10回事業再構築補助金の申請サポートについては、先着10社様限定で承ります。
しっかりと事業計画書の構想を練る時間を考えると、2カ月前ぐらいから始められることを強くお薦めします。
実際に補助金が活用できる事業の取り組みなのか、どの申請枠で進めれば有利なのか、採択されるポイントはどこなのかなど、ご相談については無料となります。
事業再構築補助金の申請をご検討の方は、是非お問い合わせいただければと思います。

山口 晋

山口 晋

山口晋(壱市コンサルティング)認定経営革新等支援機関ID:107613000510
経済産業大臣登録 中小企業診断士(登録番号420415)
長野県上田市出身 中小企業診断士チームである、壱市コンサルティングチームの代表 不動産業界にて約18年間に渡り、不動産売買仲介、ビル管理運営などの業務に従事し、経営コンサルタントとして独立開業。得意な業界は、不動産業、建設業、飲食業、サービス業全般。「中小企業診断士の認知度とブランド力向上のため、人生をかけています。」補助金採択率90%以上。事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金など約100件以上採択
壱市コンサル塾 中小企業診断士2次試験対策講座の講師 実務従事サービス 独立・副業支援 毎年、中小企業診断士試験合格者を連続輩出

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