今回は、「第18次ものづくり補助金の公募回」についてになります。
2024年1月31日に、令和5年度補正予算による、第18次のものづくり補助金の公募が開始されましたので詳細についてお伝えします。
【ものづくり補助金総合サイト 公募要領】
ものづくり補助金総合サイト 公募要領
目次
【ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(18次締切分)~最終回は短期間での事業実施が必須!】
令和5年度補正予算においては、この第18次が最終回となりました。
まだ今年は1ヶ月しか経過していないのですが、もう最終回です。
その理由としては事業実施期間のスケジュールの大幅な変更があります。
まず、実績報告の期限が2024年12月10日までとなっています。
第16次、第17次、第18次とすべて2024年12月10日までとなっており、特に第18次の申請の事業者の方にとっては、かなりタイトなスケジュールとなります。
第18次の申請〆切:2024年3月27日(水)17:00、採択発表が2024年6月下旬頃予定、実績報告の期限が2024年12月10日と約5ヶ月間のタイトスケジュールです。
そこで、注意したいのが、交付申請から交付決定までの期間があり、交付決定後に初めて経費先へ発注できるということです。
通常の期間ですと、交付申請から交付決定までは1ヶ月程度時間をようするので、最短の7月中に交付決定をとったとしても、残り4ヶ月間しか事業実施期間がないということです。
これは、そもそも受注生産品や、システム開発で4ヶ月以上納期がかかる様な事業は、そもそもこの補助金の対象外ということになります。
何しろ、第18次については、前倒しで計画的に実施しないと、採択後もかなり厳しくなることが予想できます。
【18次公募はすべての申請枠が実施】
予想通りで、第17次と第18次の間が1ヶ月間もないような期間に2回公募と異例の事態となっています。
第17次は省力化(オーダーメイド)枠のみの公募でしたが、第18次は全ての申請枠があり、第16次までと同じようになっています。
公募要領が出たことにより、各申請枠の注意点や具体的な内容が判明しました。
➀省力化(オーダーメイド)枠 第17次と第18次両方で申請可能
〇補助上限額・補助率
→大幅賃上げをすると()の内の通りで補助上限額が増えます。
16次までの通常枠との違いとしては、補助上限額が従業員6~20人が1,000万円→1,500万円(2,000万円)、21人以上1,250万円→21~50人3,000万円(4,000万円)、51~99人5,000万円(6,500万円)、100人以上8,000万円(1億円)と大幅に補助金の上限額が多くなっています。
1/2、小規模・再生2/3の補助率は、16次までの通常枠と同様の補助率です。
ただし、補助金額が 1,500 万円までのものは 1/2 以内 、 1,500 万円を 超える部分は 1/3 以内となります。
〇対象事業
人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備))の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援
デジタル技術とは AI 、ロボット、センサー等をいう。
ロボット単体の導入ではなく、外部のシステムインテグレータ( Sier )との連携などによりロボットシステム等を構築したものをいう。
→デジタル技術を活用した専用設備、ロボットシステム等を構築したものに対する補助金なのかどうかを見極める必要があります。
〇活用イメージ
例)熟練技術者が手作業で行っていた組立工程に、システムインテグレータ(SIer )と共同で開発した AI や画像判別技術を用いた自動組立ロボットを導入し、完全自動化・ 24 時間操業を実現。組立工程における生産性が向上するとともに、熟練技術者は付加価値の高い業務に従事することが可能となった。
→AI画像判別技術を用いた自動組み立てロボットなどで、生産性向上と付加価値が高まること。主に、製造業を対象とした内容ということが分かります。
この申請枠の特徴は、補助上限額大きいということです。大きな設備投資をされる事業者の方にとっては、大きな後押しとなる申請枠です。
ただし、他の申請枠とは違った視点で審査がされることになっており、名称のとおりで、省人化、人手不足の解消に向けた、デジタル技術の活用、自社の事業にカスタマイズされたシステムの構築をしていくことにより、労働生産性の向上が必須となります。
➁製品・サービス高付加価値化枠の新設等<通常類型>
〇対象事業
・革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援
〇活用イメージ
例)最新複合加工機を導入し、精密加工が可能となり国際基準に準拠した部品を開発。
→16次までの通常枠との変更点は、新型コロナ回復加速化特例が適用になると補助率が2/3に引き上げとなることです。
〇新型コロナ回復加速化特例
下記が要件となっています。
(1)常時使用する従業員がいること
(2)2022年10月から2023年8月までの間で、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
(3)補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額が1.5%以上増加目標を達成していること
(4)補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上の水準を達成していること
→(2)の要件は過去の期間内に従業員の給与支給の状況を示さないといけなく、この要件に当てはまっているどうかを確認する必要があります。
➂製品・サービス高付加価値化枠の新設等<成長分野進出類型(DX・GX)>
〇対象事業
今後成長が見込まれる分野(DX ・ GX )に資する革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援
※革新的な製品・サービス開発とは、顧客に新たな価値を提供することを目的に、導入した設備・システムを用いて、自社の技術力等を活かして製品・サービスを開発することをいう。
単に設備・システムを導入するにとどまり、製品・サービスの開発を伴わないものは該当しない。
〇活用イメージ
例)AI やセンサー等を活用した高精度な自律走行搬送ロボットの試作機を開発
→16次まであったデジタル枠・グリーン枠が一つにまとめられ、大きな変更点は、補助上限額が大きくなっていることです。
従業員5人以下が750万円→1,000万円(1,100万円)、6~20人が1,000万円→1,500万円(1,750万円)、21人以上1,250万円→2,500万円(3,500万円)と多くなっています。
補助率は一律2/3以内と他の枠と比較すると大きいです。
〇DX・GX
DX:DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること
DXに資する革新的な製品・サービスの開発とは、例えば、AI、IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの開発(部品、ソフトウェア開発を含む)等をいう。
GX:グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する革新的な製品・サービスの開発であること
グリーン成長戦略「実行計画」14分野とは、令和3年6月18日付で策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野をいいます。分野毎に「現状と課題」として記載のある「課題」の解決に資する取組であることが必要となり、14分野のうちどの分野のどの課題の解決に資する取組でなければならない。
それぞれ第16次までとは様相が若干違います。
DXは、第16次まであった様々な取り組みや加点項目がなくなり、申請における制約条件がなくなりました。
その一方で、GXについては、事業再構築補助金のグリーン成長枠で求められていたグリーン成長戦略「実行計画」14分野に概要する事業しか認めらないということです。
令和3年6月18日付「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」
概要資料
本体資料
DXは申請がしやすく、GXは限られた事業でしか申請ができない。
上述の通りで、DXについてはデジタル枠よりも補助金額が大きくなっているので、この申請枠に人気が集中する可能性を感じます。
➃グローバル枠
〇対象事業
海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資等を支援
※海外事業とは、海外直接投資、輸出、インバウンド、海外企業との共同事業をいう。
〇活用イメージ
例)海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し新製品の開発を行うとともに、海外展示会に出展
大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例の拡充
・持続的な賃上げを実現するため、大幅な賃上げに取り組む事業者に対して、従業員規模に応じて補助上限額を100 万円~ 2,000 万円引き上げ。
・事業計画において、補助事業期間終了後3~5年で「①給与支給総額 年平均成長率 6 %以上増加」かつ「②事業場内最低賃金を 地域別最低賃金+50円以上の水準」を満たしたうえで、「③毎年、事業場内最低賃金を+50円以上増額」することとし、賃上げに係る計画書を提出することが要件。
・要件未達の場合、補助金上乗せ分について全額返還。
→16次までの大幅賃上げの要件との変更としては、➀補助重減額が申請枠に応じて大きくなっていること、②事業場内最低賃金が+45円から+50円に増額金額が上がったことです。
【補助上限引き上げ額】
→製品・サービス高付加価値化枠(通常類型、成長分野進出類型)とグローバル枠については、16次まどと同様の補助上限額です。
金融機関の確認書
これまで、事業再構築補助金の場合で、補助金額3,000万円を超える場合に必要となっていた、金融機関の確認書ですが、ものづくり補助金でも必要となり、金融機関からの資金調達が必要とするすべての事業者において、必須となりました。
これは、大きな制度変更となっており、金融機関との連携をしないと補助金の申請事態ができないということです。
金融機関としては、負担となる書類作成業務となるので、あらかじめネゴシエーションをして調整をしないと、期限内に間に合わないだなんとことも発生すると思います。
想定としては、今年のものづくり補助金は、実績報告までがタイトなので、金融機関と事前に話をつけていない事業者には補助金を採択させないといった意味が含まれていると感じます。
以上、第18次の概要と大きな変更点となりますが、3月が最終回と今までとは違った公募の状況となっています。
年度内ではワンチャンスとなるので、残り約2か月間で、しっかりと準備を進めて申請し、6月末の採択後も12月10日までに事業の実施まで終えないといけないといったスケジュール管理が重要になります。
ものづくり補助金の申請サポート
壱市コンサルティングでは、中小企業診断士のチームでものづくり補助金の申請サポートを実施しております。
専門分野をもった、中小企業診断士のメンバーが揃っており、各業界に適した人材が2~3名体制で責任をもって担当します。
第18次ものづくり補助金の申請サポートについては、先着10社様限定で承っております。
なかなか採択されない事業者の方の駆け込み寺的な立場になりたいという思いから、再申請の方限定で、着手金の割引コースも設けています。
特にものづくり補助金では、採択されるための加点の申請項目が複数あり、十分な準備期間を設けて進められることが望ましいです。
実際に補助金が活用できる事業の取り組みなのか、どの申請枠で進めれば有利なのか、採択されるポイントはどこなのかなど、初回は無料相談を実施しています。
ものづくり補助金の申請をご検討の方は、是非お問い合わせいただければと思います。