今回は「超難化!第11回事業再構築補助金の採択結果と過去公募回との比較」についてになります。
2024年2月13日に、第11回の事業再構築補助金の採択発表がありました。
第11回は〆切となった2023年10月6日から4ヶ月以上の長い期間の審査期間があり、結果としてはかなり採択されにくい補助金に変わりました。
〇第10回事業再構築補助金の採択結果について
第10事業再構築補助金の採択結果と過去公募回との比較
〇令和4年度の事業再構築補助金の採択結果についての記事は下記です。
令和4年度の事業再構築補助金採択結果まとめ
〇第11回事業再構築補助金の説明記事は下記です。
第11回事業再構築補助金の公募開始と変更点
第11回事業再構築補助金の概要の説明動画~変更点とポイント解説!
成長枠の対象となる業種・業態が増えて、事業再構築補助金が使いやすくなりました!
第11回事業再構築補助金の電子申請の入力方法~成長枠
【第11回事業再構築補助金の採択結果】
それでは第11回の事業再構築補助金の採択結果についてみていきます。
第11回 2023年10月6日〆切、2024年2月13日発表
秋の行政レビューで事業再構築補助金の在り方が問題視され、代理申請の不正アクセス問題も勃発して、審査が長期化して、今までと比較するとかなり長い審査期間となりました。
応募件数9,207件、採択件数2,437件、採択率26%
〇過去の応募件数・採択数との比較
令和3年度の全5回は、第1回:応募件数19,239件、採択件数8,016件、第2回:応募件数18,333件、採択件数9,336件、第3回:応募件数18,519件、採択件数9,021件、第4回:応募件数19,673件、採択件数8,810件、第5回:応募件数21,035件、採択件数9,707件
令和4年度の全4回は、第6回:応募件数15,340件、採択件数7,669件、第7回:応募件数15,132件、採択件数7,745件、第8回:応募件数12,591件、採択件数6,456件、第9回:応募件数10,821件、採択件数5,205件
令和5年度の2回は、第10回:応募件数10,821件、採択件数5,205件、採択率48%、第11回:応募件数10,821件、採択件数5,205件、採択率26%、
第11回の応募件数は9,207件と、前回第10回の10,821件と比較すると85%の応募総数と減少しました。
採択数は、第11回の採択数は2,437件と第10回の採択数5,205件の47%と半減し、かなり採択されるのが難しい補助金になりました。
この要因はいくつか分析できますが、コロナ禍が終焉し補助金の元々の趣旨から時流がかわったこと、行政レビューで叩かれたことにより審査が厳しく成ったこと、第11回目と申請している案件の質が徐々に低下してしまったこと、代理申請による不正アクセスにより自動的に不採択となっている申請案件があることなど、複数の要因からくるものだと思います。
〇過去の採択率との比較
令和3年度の全5回の合計採択率は、第1回:採択率42%、第2回:採択率51%、第3回:採択率49%、第4回:採択率45%、第5回:採択率46%
令和4年度の全4回の合計採択率は、第6回:採択率50%、第7回:採択率51%、第8回:採択率51%、第9回:採択率45%
令和5年度の2回の合計採択率は、第10回:採択率48%、第11回:採択率26%
第11回は過去にはない、異例の低採択率です。
【申請類型別採択件数と採択率】
申請類型別に第11回の応募件数、採択件数、採択率です。
全体:応募件数9,207件、採択件数2,437件、採択率26%
成長枠:応募件数2,508件、採択件数698件、採択率28%
グリーン成長枠:応募件数597件、採択件数187件、採択率31%
産業構造転換枠:応募件数242件、採択件数53件、採択率22%
最低賃金枠:応募件数189件、採択件数48件、採択率25%
物価高騰対策・回復再生応援枠:応募件数5,671件、採択件数1,451件、採択率26%
大規模賃金引上促進枠:応募件数179件、採択件数22件、採択率12%
そして、過去の申請回と第11回とを一挙に比較してみていきます。
成長枠
成長枠は、成長枠リストに掲載されている業種や事業を対象とした申請類型です。
令和5年度の2回は、第10回:応募件数2,734件、採択数1,242件、採択率45%、第11回:応募件数2,508件、採択件数698件、採択率28%
全体平均26%より、若干高い採択率となっています。
成長枠リストに掲載されている業種と事業にしか申請ができないので、審査上有利になったことが想定できます。
グリーン成長枠
第6回より登場した、グリーン分野での事業再構築を通じた高い成長を目指す申請類型です。
第6回:応募件数493件、採択件数197件、採択率40%
第7回:応募件数543件、採択件数217件、採択率40%
第8回:応募件数434件、採択件数173件、採択率40%
第9回:応募件数372件、採択件数148件、採択率40%
第10回:応募件数631件、採択件数262件、採択率42%
第11回:応募件数597件、採択件数187件、採択率31%
もっとも補助金額が大きい1億円までの申請枠ですが、もっとも採択率が高く採択されやすい申請枠となる結果となりました。
第10回までの傾向とは反対の結果となっており、大きく事業投資をする事業者が有利と思えるような結果となっています。
産業構造転換枠
国内市場の縮小等の産業構造の変化等により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者に対して、補助率の引き上げ等により支援する申請類型です。
第10回:応募件数275件、採択件数102件、採択率37%、第11回:応募件数242件、採択件数53件、採択率22%
採択率前回同様に全体平均よりも低いです。
最低賃金枠
第3回より登場した申請類型が最低賃金枠です。
第3回:応募件数428件※不備無し、採択件数375件、採択率88%
第4回:応募件数391件、採択件数290件、採択率74%
第5回:応募件数306件、採択件数243件、採択率79%
第6回:応募件数252件、採択件数216件、採択率86%
第7回:応募件数162件、採択件数131件、採択率81%
第8回:応募件数165件、採択件数117件、採択率71%
第9回:応募件数106件、採択件数68件、採択率64%
第10回:応募件数249件、採択件数133件、採択率53%
第11回:応募件数189件、採択件数48件、採択率25%
加点措置を行い、物価高騰対策・回復再生応援枠に比べて採択率において優遇される申請類型と記載されており、第10回までは加点優遇されておりましたが、ふたを開けてみれば採択率が低い申請類型となりました。
物価高騰対策・回復再生応援枠
第10回より登場した申請類型が、物価高騰対策・回復再生応援枠です。
第10回:応募件数6,775件、採択件数3,387件、採択率50%
第11回:応募件数5,671件、採択件数1,451件、採択率26%
第10回からは、物価高騰対策・回復再生応援枠からの申請者が大半になっておりますが、この申請類型は全体採択率とほぼ同水準の低い採択率となりました。
大規模賃金引上促進枠
成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対し、補助金額を上乗せして支援する申請類型。
第10回:応募件数202件、採択件数55件、採択率27%、第11回:応募件数179件、採択件数22件、採択率12%
かなり低い採択率の申請類型となりました。
【第9・10・11回の業種別採択率と採択数】
次に今回は、詳細分析として、業種別の採択率と採択数をみていきます。
このデータは事業再構築補助金の公募の結果についてという資料に基づき、加工し作成したものです。
第11回の日本標準産業分類における応募数・採択割合は、製造業、卸売・小売業、建設業が多いとなっていますが、過去回と比較すると大きな特徴がありました。
まず、採択数は製造業、卸売・小売業、建設業と順番に多いですが、第9・10回と多かった飲食サービス業の数が半減しました。
第11回の採択率順に並べると、製造業は41.5%、情報通信業は32.4%と全体の中では採択率が高く、教育、学習支援業と宿泊業、飲食サービス業、医療、福祉、は20%を切りかなり低くなり、生活関連サービス業、娯楽業と不動産業、物品賃貸業は12%台と激減しました。
成長枠のリストとの相関関係もありますが、行政レビューで指摘された重複案件など、過去の事業再構築補助金で多く採択された世の中に多くなり過ぎた事業や、事業者が実郎せずに単純な投資とみなされる事業については、付加価値を生まず、労働者に寄与しないとみなされて、審査がかなり厳しくなったと考えられます。
この結果については、予想はされておりましたが、かなり厳しい結果だと思います。
第11回からかなり採択しにくくなった事業再構築補助金ですが、当初予定していた第12回の公募は今後公募が開始されることはあるのでしょうか。
第11回で不採択となった事業者は全体の74%と第12回の公募が出た場合には、最終回としてかなりの申請件数が出てくることが予想できます。
また、上記の業種別の採択の傾向から、採択される事業かどうかを十分に見極めてから、申請をすることをお薦めいたします。
そして、令和5年度補正予算で公募が決定している、事業再構築補助金を再編した、中小企業省力化投資補助金、いわゆるカタログ補助金の情報についても、今後随時公開されていくことと思います。
事業再構築補助金の申請サポート
壱市コンサルティングでは、中小企業診断士のチームで事業再構築補助金の申請サポートを実施しております。
専門分野をもった、中小企業診断士のメンバーが揃っており、各業界に適した人材が2~3名体制で責任をもって担当します。
第12回事業再構築補助金の申請サポートについても引き続き、先着15社様限定で承っております。
本来十分な準備期間の中で申請まで進めらることが望ましいですが、
直前1カ月前、3週間前ぐらいから始められる方も面談の上、お受けしております。
実際に補助金が活用できる事業の取り組みなのか、どの申請枠で進めれば有利なのか、採択されるポイントはどこなのかなど、初回は無料相談を実施しています。
当初予定の最終回第12回事業再構築補助金の申請をご検討の方は、是非お問い合わせいただければと思います。