今回は、「事業承継・引継ぎ補助金 9次公募」についてになります。
2024年4月1日より、令和5年度補正予算による、中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金助金の公募が開始されておりますのでその詳細についてお伝えします。
【事業承継・引継ぎ補助金 サイト】
事業承継・引継ぎ補助金7次公募~
事業承継・引継ぎ補助金 概要
中小企業生産性革命推進事業、令和 5年度補正予算案による、事業承継・引継ぎ補助金の9次公募となります。
【事業目的】
事業承継・引継ぎ補助金は、事業再編、事業統合を含む事業承継を契機として経営革新等を行う中小企業・小規模事業者に対して、その取組に要する経費の一部を補助するとともに、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎに要する経費の一部を補助する事業を行うことにより、事業承継、事業再編・事業統合を促進し、我が国経済の活性化を図ることを目的とする補助金です。
【申請類型】
事業承継・引継ぎ補助金は、補助の対象となる取組内容や経費の種類に応じて、「経営革新枠」、「専門家活用枠」、「廃業・再チャレンジ枠」の3事業があります。
さらに、経営革新は、➀「創業支援類型」、②「経営者交代類型」、③「M&A類型」の3類型、専門家活用には、➀「買い手支援類型」と②「売り手支援類型」の2類型に分類されます。
交付申請に必要な条件は事業や類型ごとに異なりますので、詳細を確認の上、申請する類型に当てはまるかを見ていく必要があります。
申請類型「経営革新枠」
「経営革新枠」
経営革新枠とは、事業承継やM&Aを契機として経営や事業を引き継いだ(または引き継ぐ予定である)中小企業者が、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等を行う際の費用の一部を補助することで、中小企業者の生産性を向上させることを目的とした枠です。
☆一定期間内に事業承継やM&Aによって経営資源を引き継いでいる(予定を含む)ことが条件です。
9次公募の事業承継対象期間:2019年11月23日~2024年11月22日
☆承継の手段(種類)によって、3つの支援類型が存在します。
➀創業支援類型:事業承継を契機に創業(開業や法人設立)を行い、経営革新等に取り組む場合
・事業承継対象期間内に開業または法人設立を行い事業を承継することが条件
・単なるのれん分けや物品等の売買は、事業承継対象外のため注意
②経営者交代型:親族や従業員への承継によって経営を引継ぎ、経営革新等に取り組む場合
・経営している法人の代表者交代が主な対象
・同一法人内の代表者交代に限り、一定要件を満たす場合は「未来の承継」も補助対象
③M&A類型:事業再編・事業統合等のM&Aを契機として、経営革新等に取り組む場合
・株式譲渡や事業譲渡、株式交換等のM&Aが対象
・親族内承継は対象外
・株式譲渡の場合、被承継者は対象会社となる(対象会社株式を売却する株主ではないことに注意)
☆事業承継後に、経営革新等に取り組むことが条件です。
経営革新とは、以下の取り組みのいずれかを通じて「経営の相当程度の向上を図ること」を指します。
■新事業活動
・新商品の開発または生産
・新役務の開発又は提供
・商品の新たな生産方式または販売方式の導入
・役務の新たな提供方式の導入
・技術に関する 研究開発およびその成果の利用
・その他の新たな事業活動
加えて、「デジタル化」、「グリーン化」、「事業再構築」に資する事業のいずれかを実施しなければなりません。
「経営革新枠」は、事業承継後に経営革新をして新たな事業を実施する場合の経費が補助金の対象となります。
・事業費:店舗等借入費、設備費、原材料費、産業財産権等関連経費(国内・外国特許等取得費)、謝金、旅費、マーケティング調査費 、広報費、会場借料費、外注費、委託費
他の補助金との大きな違いは、
➀店舗等借入費で、店舗・事務所・駐車場の賃借料・共益費、仲介手数料、賃借料が対象
②設備費で店舗・事務所等の新築工事、増築工事、改築工事、外構工事、外装工事・内装工事費用が対象
③外注費ではWeb サイトの新規制作に係る経費、ソフトウェア開発に係る外注費、インターネットを利用した広告に関する費用等が対象
以上から、幅広い経費が対象として認められている点です。
小規模事業者、物価高の影響により、営業利益率が低下している事業者などは、補助率が1/2以内から2/3以内になります。
賃上げ要件を満たした場合に、補助上限額が600万円から800万円に引き上げられます。
申請類型「専門家活用枠」
「専門家活用枠」
専門家活用枠とは、後継者不在や経営力強化といった経営資源引継ぎ(M&A)のニーズをもつ 専門家への委託のみが補助対象となります中小企業者が、経営資源の引継ぎに際して活用する専門家の費用等の一部を補助することによって、地域の需要や雇用の維持・創造等を通じた経済の活性化を図ることを目的とした枠です。
☆補助事業期間内に経営資源の引継ぎ(M&A)が着手もしくは実施されることが条件です。
基本合意書の締結、最終契約書の締結、クロージングなど
☆経営資源引継ぎの立場に応じて2つの支援類型が存在します。
①買い手支援類型
・事業再編・事業統合に伴って、株式・経営資源を譲り受ける予定の中小企業者
②売り手支援類型
・事業再編・事業統合に伴って、株式・経営資源を譲り渡す予定の中小企業者
☆経営資源引継ぎにおけるFA(フィナンシャルアドバイザー)・仲介業務は「M&A支援機関登録制度」に登録された専門家への委託のみが補助対象となります。
・M&A支援機関登録制度とは、中小企業庁によって創設された、中小企業に向けたM&A支援業務を行う事業者の登録制度です。
・■M&A支援機関の種類(例)
・M&A専門業者(仲介、フィナンシャルアドバイザー)
・金融機関(都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合、証券会社、保険会社など)
・商工団体(商工会・商工会議所)
・士業専門家(税理士、公認会計士、中小企業診断士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士など)
委託費のうち、「M&A支援機関」への支払のみが補助対象となる費用
・着手金、マーケティング費用、リテーナー費用、基本合意時報酬、成功報酬、価値算定費用、デューデリジェンス費用
「専門家活用枠」は、M&Aを実施するにあたって必要となる経費で、仲介会社会社へ支払う費用などが経費となります。
なお、M&Aのによる株式や経営資源自体の購入費用は補助金の対象外です。
・事業費:謝金、旅費、外注費(業務の完遂の結果により報酬があるもの)、委託費、システム利用料(マッチングプラットフォーム等)、保険料
・廃業費:廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費
申請類型「廃業・再チャレンジ枠」
「廃業・再チャレンジ枠」
廃業・再チャレンジ枠とは、M&Aによって事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主や個人事業主が、地域の新たな需要の創造や雇用の創出にも資する新たなチャレンジをするために、既存事業を廃業する場合にかかる経費の一部を補助する枠です。
☆単独申請の場合と、併用申請の場合とで要件が異なります。
・再チャレンジ申請(単独申請):M&Aで事業を譲り渡せなかった事業者による廃業・再チャレンジ
・併用申請:事業承継に伴う廃業や、事業の譲り渡し/譲り受けに伴う廃業
・廃業費:廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、移転・移設費
☆【 再チャレンジ申請の場合】一定期間内にM&A(事業の譲り渡し)に着手していることが条件です。
・事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼
・M&A 支援機関との包括契約(着手を含む契約)
・M&A マッチングサイトへの登録
☆【再チャレンジ申請の場合】補助事業期間内に既存法人(事業)の廃業を完了した上で、再チャレンジをすることが条件です。
・再チャレンジ申請の場合、補助事業期間中に廃業を完了する必要があります。なお、この場合の廃業は事業の一部を廃業するのではなく、会社自体の廃業が要件となります。
「廃業・再チャレンジ枠」は、廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費などが経費となります。
9次公募スケジュール
交付申請受付開始:令和6年4月1日(月)~ 交付申請締切:4月30日(火)17:00
交付決定:6月上旬(予定)
補助事業完了日:11月22日まで
事業報告期日:12月2日まで
申請サポート
壱市コンサルティングでは、中小企業診断士のチームで補助金・助成金の申請サポートを実施しております。
専門分野をもった、中小企業診断士のメンバーが揃っており、各業界に適した人材が2~3名体制で責任をもって担当します。
事業承継・引継ぎ補助金については、各回先着2社様限定で承っております。
確実に採択されるためには、十分な準備期間を設けて進められることが望ましいです。
実際に補助金・助成金が活用できる事業の取り組みなのか、どのように進めれば有利なのか、採択されるポイントはどこなのかなど、初回は無料相談を実施しています。
事業承継・引継ぎ補助金の申請をご検討の方は、是非お問い合わせいただければと思います。