国や自治体による補助金は、中小企業や個人事業主が成長していくのに欠かせない存在。
その中でも、東京都は魅力的な補助金も多く、活用のチャンスが多いのが特徴です。
しかし、いざ活用しようとなると「自社のニーズに合う補助金は?」「募集要件にあてはまる?」「結局補助金もらえるの?」と困ってしまう方も多いはず。
この記事では、東京都の事業者が補助金を上手に活用するための制度や活用のポイントについて詳しく解説します。
補助金を賢く利用して、自社の成長につなげましょう。
壱市コンサルティングでは、数多ある補助金の中から要件に合った補助金を探し、申請のサポートまでいたします。
目次
東京都の補助金制度とは?特徴や種類を詳しく解説
東京都は実に1,000種類を超える補助金が用意され、その対象は企業から個人にいたるまで様々。
制度の特徴や種類を知り、自社にあった補助金を見つけましょう。
※東京都の場合、一般的な補助金を助成金という名称で公募しております。本記事については、全て補助金として表現しています。
東京都の補助金の特徴と種類
【補助金の特徴】
東京都の実施する補助金は国が行う補助金と大きく変わりませんが、中には申請要件が比較的易しいものもあり、気軽にチャレンジしやすいものが多いのが特徴です。
例えば、国が実施する補助金ではホームページの作成に活用しづらいものが多い中、都や区が行う補助金では、ホームページの作成にかかる費用のほとんどを助成してくれるものもあります。
ただし、都や区の財政や政策によって予算が決まるので、多くの場合は採択件数が決まっており、応募数が多いと申請しても採択されず、補助金を受給できないという可能性も。
採択されるためには、提出書類で「補助金を受け取ることで、これだけ事業が発展する」ということをしっかりとアピールすることが重要です。
【補助金の種類】
東京都ではさまざまな事業シーンにあわせた補助金があります。事業分野や目的に応じて活用しましょう。
<東京都の補助金の一例>
設備投資する時の補助金 | 創業・開業・新規事業を立ち上げる時の補助金 | 事業承継・引継ぎ時の補助金 |
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 | 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業 | 事業承継・引継ぎ補助金 |
設備投資緊急支援事業、新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業 | 創業助成金 | |
事業再構築補助金、ものづくり補助金 | 各区の補助金・助成金 | |
小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金 |
補助金制度の対象と申請条件
補助金制度の対象や申請条件は、補助金の種類によって異なります。
必ず公式の募集要項を確認するようにしましょう。
【補助金制度の対象】
補助金制度の一般的な対象者は以下の通りです。
・中小企業(大企業向けの補助金制度もある場合があります)
・個人事業主
・NPO法人
・地域団体
・個人 など
特定の業種(製造業、農業、観光業など)が対象になることもあります。
<ポイント>
中小企業者と小規模事業者の定義は実は曖昧。
補助金については、下記の資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人のことを指すので、覚えておくとよいでしょう。
<中小企業者>
業種 | 資本金 | 常時従業員数 |
製造業、建設業、運輸業、旅行業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
<小規模事業者>
業種 | 常勤従業員数 |
製造業その他 | 20人以下の会社及び個人事業主 |
商業・サービス業 | 5人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下の会社及び個人事業主 |
【申請条件】
・事業所や居住地が東京都内であること
・補助対象となる設備や事業を実施すること
・補助対象経費の自己負担分を支払うこと
・過去に補助金の不正受給がないこと
・申請時点で事業を営んでいること など
中小企業・個人事業主におすすめ!東京都の人気補助金5選
大規模投資を助成する補助金や、これから創業しようとする方向けの補助金など、種類は様々。
既に申請スケジュールが公表されている補助金もあるので、「気付いたら申請期限が過ぎていた…」とならないように早めの確認をしましょう!
設備投資緊急支援事業
運送・物流、建設業界など『2024年問題』対策に取り組む中小企業を対象に、最新機械設備の導入を支援。最大助成金1億円(助成率:4/5以内)と非常に高額で助成率も高いのが特徴です。
※『2024年問題』とは、働き方改革関連法の時間外労働の上限規制において人手不足の深刻化や売上の減少等の発生をさします。
対象者 | 東京都内に登記簿上の本店又は支店があり、都内で2年以上事業を継続している中小企業者等※都外設置の場合は東京都内に本店があること |
対象期間 | 交付決定日の翌月1日から1年6か月間※第1回募集の助成対象期間は令和6年10月1日~最長令和8年3月31日 |
対象事業 | 運送・物流、建設業及びその他業種で働き方改革関連法の時間外労働の上限規制による人材不足等の対策に必要となる設備投資を新たに導入する事業 |
助成対象経費 | 『2024年問題』の対策のための機械設備、器具備品、ソフトウェアの導入経費1基50万円(税抜)以上の機械装置、もしくは器具備品 →他にも要件があります |
<ポイント>
書類審査と面接審査があります。助成額が高額なため、難易度の高い補助金ですが、業務効率化や人手不足解消のための高性能な設備やソフトウェア導入を検討されている事業所様へおすすめです。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業
東京都限定の補助金。最大助成金1億円(助成率3/4)と非常に高額な助成額なので、大きな設備投資を検討中の中小企業へおすすめ。
対象者 | 東京都内に登記簿上の本店又は支店があり(個人にあっては都内で開業届出をして事業を営んでいる者)、2年以上事業を継続している中小企業者等 |
対象事業 | 以下のⅠ~Ⅳのいずれかに合致する事業であることⅠ. 競争力強化
競争力強化を目指し必要となる機械設備を新たに導入する事業 Ⅱ. DX推進 IoT、AI、ロボット等のデジタル技術の活用により、新しい製品・サービスの構築や既存ビジネスの変革を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業 Ⅲ. イノベーション 国内外において市場の拡大が期待される産業分野において、新事業活動に取り組むことで、イノベーション創出を図るために必要となる機械設備を新たに導入する事業 Ⅳ. 後継者チャレンジ 事業承継を契機として、後継者による事業多角化や新たな経営課題の取り組みに必要となる設備等を新たに導入する事業 |
助成対象経費 | 機械装置、器具備品、ソフトウェアの新たな導入、搬入・据付等に要する経費(注)1基50万円(税抜)以上のものに限る→他にも要件あり |
<ポイント>
東京都の補助金の中でも高額な助成金額なので大変魅力的です。ただし1次審査(書類)と2次審査(面接)があります。審査では加点措置があるので加点要件を確認し、できることは行い採択率を高めましょう。
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
東京都内の商店街で開業を検討している方必見!最大助成金844万円!
店舗の工事費等、経費の一部が助成され、開業初期の費用負担軽減を支援。対象者や申請区分が限定的なので、興味がある方はぜひチェックを!
対象者 | ・女性:年齢制限無し・男性:年度末時点で39歳以下
・創業予定者・個人事業主 |
対象期間 | 交付決定日から開業日の翌々月末(最長1年間) ※店舗賃借料は交付決定日から3年間 |
対象事業 | 開業予定者が、都内商店街で新規に実店舗を開設する事業 |
助成対象経費 | 店舗新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝・広告費、店舗賃借料 |
<ポイント>
商店街の活性化に寄与する役割や期待値が高いため、対象者や申請区分が限定されています。ただし、助成額が大きいことや愛着のある商店街との関わりを持つことができるこの補助金制度の採択倍率は令和4年で7.1倍、令和5年で8倍と年々高まっています。
「思い入れのあるこの商店街で開店したい!」「商店街の魅力を活かして地域活性化に貢献したい!」など熱意をお持ちの方はぜひチャレンジを!
ものづくり補助金
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス⽣産性向上促進事業)は、中小企業・小規模事業者等が今後直面する、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等の制度変更等に対応するために、サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する制度です。
申請枠が多岐に渡るので、自社の事業内容や目的に合わせて募集要項を確認しましょう。
対象者 | 中小企業・小規模事業者 |
対象事業 | ・省力化(オーダーメイド枠)・製品/サービス高付加価値化枠
・通常類型(革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備/システム投資等支援) ・成長分野進出類型(DX・GX):今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品/サービス開発の取り組みに必要な設備/システム投資等を支援 ・グローバル枠 |
助成対象経費 | <共通>機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
<グローバル枠のみ> 海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
基本要件 | 以下を満たす3〜5年の事業計画書の策定及び実行①付加価値額:年平均成長率+3%以上増加
②給与支給総額:年平均成長率+1.5%以上増加 ③事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上 |
<ポイント>
ものづくり補助金の助成額は750万円〜1億円。申請枠や従業員規模等によって助成額が異なるので募集要項で確認を!また、ものづくり補助金は3〜5年の事業計画に基づき事業を実施し、毎年事業化状況報告を提出する必要があります。基本要件等が未達の場合、補助金返還義務があるので注意しましょう。
小規模事業者持続化補助金
販路開拓の取組み等の経費の一部を補助する制度です。
新たな販売促進の取組や新商品開発など様々な取組に使えるので、小規模事業者の方はチェックしてみてください!
対象者 | ・商工会地域の小規模事業者等・商工会(商工会議所)の管轄地域内で事業を営んでいる
・確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が15億円を超えていない |
助成限度額・助成率 | 助成限度額[通常枠] 50万円
[賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠] 200万円 ※インボイス特例対象事業者は、上記金額に 50 万円の上乗せ 助成率:2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4) |
対象事業 | ・販路開拓等のための取組であること。あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組。・商工会の支援を受けながら取り組む事業
・以下に該当する事業を行うものではないこと ①国が助成する他の制度と同一又は類似内容の事業 ②本事業の終了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業 ③事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの |
助成対象経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、新商品開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費 |
<ポイント>
申請には地域の商工会議所や商工会に提出書類の確認や発行を依頼する必要があるため、支援を受けながら手続きを進めます。
経営計画書や補助事業計画書は採択審査に大きく関わる重要な書類です。計画だけではなく、創業の想いや熱意をしっかり伝えることも重要です。
壱市コンサルティングでは小規模事業者持続化補助金をはじめ、多数の補助金支援実績があります。「どの補助金が合っているか分からない」という方も、まずは無料相談いただけますので、お気軽にお問合せください。
補助金を賢く活用するためのポイント
自社の成長のために補助金を最大限活用するには、どの補助金を選び、どのように活用していくかの戦略が必要です。
ここでは補助金を賢く活用するためのポイントを4つ挙げています。
・自社の課題に合わせて補助金を選ぶ
・申請要件を丁寧にチェックし漏れのないよう準備する
・活用計画を立て、さらなる成長につなげる
・専門家に相談して申請サポートを受けるのも有効
一つずつ詳しく解説していきます。
自社の課題に合わせて補助金を選ぶ
補助金を選ぶために、まずは自社の課題やニーズを明確にしましょう。
「売上が落ちてきたから販促に力をいれてお客さんを増やしたい」
「長く使っていた設備がよく故障するようになったので、作業効率性が高い新機種を導入したい」
「新規事業を立ち上げたいから、資金調達をしたい」
など、補助金を使用したい目的を整理することで、自社の課題やニーズに合った補助金を探すことができます。
また、区が実施する補助金まで幅広く探すことで、目的に合った補助金を探すことができるでしょう。
その中から、
・事業規模や業種、計画内容などが申請条件にあてはまるか
・課題の解決やニーズを満たす補助金の内容か
・提出書類の準備ができる余力があるか、書類作成の難易度はどうか
など、自社の状況に合った補助金を選びます。
東京都の補助金を検索するツールもあるので、積極的に活用していくと良いでしょう。
新しい補助金が始まることもありますので、定期的に情報を収集するようにしましょう。
財務局 TOKYO補助金サーチ 見える化ボード
申請要件を丁寧にチェックし漏れのないよう準備する
どの補助金を申請するか決まったら、募集要項を丁寧にチェックすることが重要です。
専門用語もあり、なかなか理解しづらい部分もありますが、特に以下のポイントに注意しながら申請要件をチェックしていきましょう。
・申請できる対象者か
・申請条件に当てはまっているか
・申請期限内か。準備期間が十分あるか。
・申請書類は何が必要か。
・自社の課題を達成するための助成額や支援内容は十分か。
以上のポイントを抑えながら読み進めましょう。
もし、補助金の申請を専門家へ依頼する場合は、締切1ヶ月以上前だと安心です。
自社で申請を行う場合は、書類作成などに想定以上に時間がかかるので、準備期間を長めに見積もっておくとよいでしょう。
活用計画を立て、さらなる成長につなげる
せっかく苦労して補助金を受給できても、活用できなければその努力が水の泡。
最大限活かせるよう、申請前に補助金の活用計画を立てましょう。
活用計画を立てる際のポイントは、以下の通りです。
・戦略プロジェクトにおいての予算の算出
プロジェクト全体の予算を算出し、補助金だけで足りない費用をどのように捻出するか確認する。
・プロジェクトのスケジュール設定
補助金の申請期限や受給時期、設備導入などの事業実施時期などのスケジュールの設定を行う。
・プロジェクト実施による効果測定やリスク管理
売上高や利益がどのくらい増加するか、プロジェクト実行に伴うリスクはないか、新規事業を立ち上げるのであれば市場調査や競合調査を行うなどプロジェクト実行後の効果測定やリスク管理を行う。
補助金申請時に具体的な活用計画を提出する場合があるので、計画を作成することで円滑に申請準備を進めることができるメリットもあります。
専門家に相談して申請サポートを受けるのも有効
「補助金の種類がありすぎて自社にマッチした補助金が分からない」
「書類準備が大変そうだし、準備する時間がない」
「せっかく申請しても採択されるか不安」
そんな方は、補助金の申請は複雑で自社で対応するのも大変なので、専門家に相談するのも一つの方法です。
その中でも、中小企業診断士に依頼するのがおススメ。
多くの補助金で平均採択率を大幅に上回り、中には採択率90%を超える中小企業診断士も。専門家に頼ることで採択の確率をぐっと上げることができます。
東京都の補助金を賢く活用して、事業を飛躍的に成長させよう!
補助金は申請方法の複雑さや採択されるかどうかが分からないなど、活用が難しい側面がある一方で、賢く活用できれば、高額な新設備の導入や新店舗開店など、事業を成長させるカギとなってくれます。
紹介した探し方で、課題に合った補助金をぜひ見つけて事業を飛躍的に成長させるきっかけにしてください。
壱市コンサルティングでは補助金申請だけでなく経営戦略の策定から実行までトータルサポート。貴社の課題を解決・成長のお手伝いをいたします。