今回は「新事業進出補助金の概要」についてになります。
令和6年度の補正予算案で新たに創設された、事業再構築補助金の後継補助金となる、「新事業進出補助金」の概要について考察していきます。
新事業進出補助金の概要
第12回公募で終了した事業再構築補助金の後釜となる補助金が新事業進出補助金です。
既存基金の予算がまだ余っている状況化の中で、その基金を活用した新たな補助金が創設されました。
「中小企業新事業進出促進事業」に係る資料提供依頼・意見募集について
中小企業新事業進出促進事業(中小企業省力化投資補助事業を再編)
事業目的
人手不足や賃上げといった昨今の経済社会の変化の中で、中小企業等が成長する過程においては、既存事業の拡大に加え、新たな事業の柱となる新事業への挑戦が重要。既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とする。
事業概要
企業の成長・拡大を通した生産性向上や賃上げを促すために、中小企業等が行う、既存事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援。
→事業再構築補助金では、コロナ禍、物価高騰といったキーワードがありましたが、人手不足や賃上げといキーワードに変化しております。
事業再構築補助金では新規性が必要不可欠となっていましたが、申請要件の中でどれだけその新規性が問われるかどうかがポイントです。
文面だけをみると、ものづくり補助金の製品・サービス高付加価値化枠と同様の内容と思わしき、新たな市場の開拓、新規顧客の獲得や新サービスの立ち上げといった内容と思えます。
事業再構築補助金の様に、既存事業と新規事業の切り分けが明確にしないといけないのかどうかが今後の公募が出てきた時のポイントとなります。
基本要件
・企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦
※事業者にとって新製品(又は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること
・付加価値額の年平均成長率+4.0%以上増加
・事業所内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上水準
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等
※その他、賃上げ要件を規定する予定
→賃上げ要件はものづくり補助金と同様に必須となる制度になります。
補助上限
従業員数20人以下2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上7,000万円(9,000万円)
※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)
→申請類型がいくつかになるかにもよりますが、既存の情報では従業員数に応じたものしかないです。
従業員数20人以下が2,500万円と補助上限額自体は第12回事業再構築補助金よりも大きくなっています。
補助加減750万円となっており、少額投資は対象外となります。
補助率
1/2
→1/2、事業再構築補助金では、成長類型などで、賃上げ要件を満たせば2/3、第11回までの従前の申請枠では、2/3、一部3/4と補助率が高いことが特長でした。
現在の情報では、1/2としか公表されておらず、仮に2,500万円の補助金をもらうためには、5,000万円の投資をしないといけないので、最も申請者が多い1,000万円前後の投資額となると、その1/2の500万円が補助対象額となります。これは、従前の制度と比較すると、申請しようと思える事業者が少なくなることが予想できます。
また、ものづくり補助金でも申請ができる場合には、補助率が2/3である、ものづくり補助金に申請下ほうが有利ということになります。
事業実施期間
交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)
→従前の事業再構築補助金と同じ事業実機期間です。
対象経費
建物費、構築物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費
→建物費と広告宣伝・販売促進費が補助対象経費にあることが大きいのが、事業再構築補助金でしたが、同じ様になりそうです。
公募開始時期
本業務においては、令和7年4月までに補助事業者向け公募要領を公開するものとし、その後、速やかに事業者等からの応募申請を受け付けることにします。
令和8年度末までに公募回数は4回程度、採択予定件数は計6,000件程度とし、中小企業等に対して補助金を交付する事務等を行うものとします。
→新事業進出補助金は、令和7年度で公募が4回程度、3カ月に1回のペースで実施するということになります。
〇コメント
補助上限額は拡充して、補助率が1/2に縮小されました。
事業再構築補助金のグリーン成長枠のように、2回目の事業再構築補助金の申請ができる制度がありましたが、この新事業進出補助金に申請できる事業者は過去に事業再構築補助金で補助金を受けている事業者が含まれるかどうかが注目すべき点です。想定としては、名前も変わっていますし、投資規模が大きく、補助率が縮小したことから資金調達面で十分な体力がある、従業員数50~100人の中小企業になるべく補助金を出していきたいといった考えの表れなのではないかと思います。
第12回の事業再構築補助金の採択結果を見ると、全体採択率約26%と第11回同様に低採択率で、8割弱が採択されない補助金となりました。
その中でも、採択率が高い業種は製造業であり、ある程度従業員規模があり、設備投資によって、事業を拡大・拡張していき、従業員の賃上げに貢献している企業を後押ししたいといった考えが出ているものと思います。実際のところ、コロナ禍で新規事業を始めなければいけないような、次代は終わり、人手不足や賃上げといった社会環境変化の中で、設備導入して省人化をしたり、生産性の向上、高付加価値化につながる取り組みに補助金が使われていくといった、王道の考え方に戻ったものだと思います。
そして、対象経費からは、システム開発を含めて、建物費、内装費、広告宣伝費などの申請もできるので、幅広く経費対象となる補助金にはなります。
来年には公募が出てくるものと思いますが、予想としては、ものづくり補助金の公募が先に出て、そのあとの〆切後に実際の概要が出てくる可能性があります。
今までの流れから、ものづくり補助金と交互に公募がでてくると思います。
ものづくり補助金が3月末〆切、ものづくり補助金の採択発表が6月、新事業進出補助金が7月〆切など予想。
大型補助金の申請サポート
壱市コンサルティングでは、中小企業診断士のチームで大型補助金の申請サポートを実施しております。
専門分野をもった中小企業診断士のメンバーが揃っており、各業界に適した人材が2~3名体制で責任をもって担当します。
今後公募が出てくるであろう、ものづくり補助金などの大型補助金の申請サポートについても引き続き、先着10社様限定で承っております。
特に令和6年度は補助金の公募がかなり少なくなり、2025年の公募ではかなりの数の申請者が予想されます。
本来十分な準備期間の中で申請まで進めらることが望ましいですが、
直前1ヶ月前から始められる方も面談の上、お受けしてきております。
実際に補助金が活用できる事業の取り組みなのか、どの申請枠で進めれば有利なのか、採択されるポイントはどこなのかなど、初回は無料相談を実施しています。
今後大型補助金の申請をご検討の方は、是非お問い合わせいただければと思います。